新板 窮理図解

初の海外経験は驚きの連続─先入観や思い込みの覆り
 小学3年生の時に、生物(形態分類)学者だった父についてイギリスで1カ月間、アメリカで3 カ月間生活しました。当時の飛行機は事故も多く、“あんな重いものが人を乗せて空に浮くなんておかしい”と飛行機の旅に恐怖感を持っていました。しかし、国産プロペラ機のYS-11や、ジェット機に乗ってみると空を飛ぶことが自然に思え、“へぇ、浮くってこんな感じか”と分かったら嫌いではなくなりました。硬いと思っていた雲を飛行機が突き抜け包み込むような柔らかさを持っていることもはじめて理解しました。イギリスに行く際に経由したモスクワでは、知らない言葉をしゃべる人たちがいることに驚きました。父がコミュニケーションできていることにもびっくりしました。イギリスでは、日本から持っていったラジオをつけたら、英語が流れてきて「こいつ日本では日本語しゃべるのに、違う言葉をしゃべるのか!」って思いました。ほかにも、社会システムや文化、あらゆる製品も日本のものとは違っており、カルチャーショックとともにイギリス紳士へのあこがれも生まれました。

知識の限界
 4カ月間ですから現地校には通わず、1日おきに家にいて勉強する日と、外に遊びに行く日にしていました。外出する日は、母と兄と私とで順番に行き先を決めました。小学5年生の兄と2人でバス旅行をした時に、居場所がわからなくなってしまいました。持っていた和英辞典で「ここ」と「どこ」を調べて、それぞれ “here” と “where” だとわかりましたが、どう組み合わせていいかどこにも書かれていなくて……旅行中肌身離さず持ち歩いていましたが、辞書って使えないと思いましたね。それとは逆に、“here, where, here, where” としゃべる子どもに、バスの運転手がわかるまで付き合ってくれたことは本当にありがたかったですね。
 日本の小学校に戻ったら、学校の授業もよく理解できなくて、周りからは「海外ボケをしている」と言われていました。でも、貴重な経験をたくさんしたと思っています。