新板 窮理図解

卒業後はどのような経験を積まれたのですか?
 2005年3月に博士課程を修了して、運良く、4月から東京理科大学に助手として採用されました。理科大では、慶應義塾大学の出身学科である管理工学科と近い研究領域をカバーしている工学部の経営工学科に所属し、数学の演習科目やコンピュータを使った実験科目に加え、学生の卒業研究の指導も行うなど、幅広い経験を積むことができました。さらに、2008年10月に電気通信大学へ異動しました。その頃には、息子も授かり、大学のすぐ近くの宿舎に親子3人で暮らしていました。ここでは、腰を落ち着けて研究に専念しようと思ったこともあり、現在の研究の核となる仕事に取り組んだのはこの時期です。このときの研究や研究に対する新しい着想が、いまの自分の大きな財産になっています。
 電気通信大学で5年半ほど教育・研究に携わった後、また、運良く2014年に慶應義塾大学に戻ってきました。

現在、研究室の体制は?
photo 3年目ということもあり、現在は修士課程1年生が2名、学部生が5名という比較的少人数の研究室です。興味あるテーマに主体的に取り組むことを重視しているため、学生の研究テーマもスポーツチームのランク付けの問題から都市景観の数理的分析まで、実に多岐にわたっています。社会のさまざまな課題に数理モデルをつくって切り込んでいくことに、皆、面白さを感じてくれているようです。また、学生の持ち込んだテーマだと私自身も一緒に苦労してあれこれ考える必要があるため、いろいろ勉強になるし、新しい発見が得られることが多いんです。

休日はどのように過ごされていますか?
 小学2年生の息子ともうすぐ2歳になる娘と妻の4人暮らしで、息子は私の影響で、虫捕りが大好き(笑)。夏休みを心待ちにしています。一方の娘は歌とダンスとアンパンマンが大好きなようです。最近はたくさん言葉を話せるようになってきたので、これからが楽しみです。また、家族で水族館や博物館に行ったり、旅行をしたりすることが、いい気分転換になっています。家族からパワーをもらうことが多いですね。
 とくに妻は、学術系の出版社で編集者をしていることもあって、よき相談相手です。法学部出身なのですが、私の研究が社会をテーマとしていることもあり、新しい研究テーマについて話をすると、あれこれ意見を言ってくれます。まずは、妻を納得させられないようでは、社会的にインパクトのある研究にはなり得ませんからね(笑)。

慶應義塾大学の良さについて教えてください。
 いくつもありますが、とくに、教職員や学生が慶應義塾という組織に強い愛着を持っていること。「慶應義塾から世界に向けてインパクトのある研究成果を発信する」、「慶應義塾をより良い組織にするためにはどうすればよいか」といったことを、皆が、それぞれの立場で考えて実践しているのが素晴らしいことだと思います。
 また、理工学部全体としては、とくに若手の活躍を支援する空気があります。若手のための研究資金、海外派遣などの制度についても、学部全体でサポートしていくという気運がある。そうした雰囲気の中で研究と教育に携われるのは、本当に幸せなことだと感じています。組織としての一体感を強く感じることができるのも、慶應義塾の大きな強みでしょうね。

どうもありがとうございました。

◎ちょっと一言◎
学生さんから
何を聞いても、真摯に、ていねいに、そしてわかりやすく答えてくださる、やさしい先生です。とにかく知識の幅が広く、話題も豊富で、とても勉強になります。ここでは、皆がパソコンを使ってプログラムを組んだりしていますが、行き詰まったときも、ちゃんと面倒をみてくださる。それでいて、研究のテーマ選びは学生に主体性を持たせるなど、厳しい一面も。ちなみに、先生のプライベートは謎に包まれています(笑)。

(取材・構成 田井中麻都佳)