新板 窮理図解

慶應義塾大学へ来られたきっかけは?
 博士課程3年の2001年に、慶應義塾大学の公募に応募したのです。それまで慶應義塾にはまるで縁がなかったので、まさか採用されるとは思いませんでした。
 それまで、小中高大と国公立しか経験してこなかったので、私大の雰囲気はかなり違うものに感じられました。慶應義塾の学生さんは、勉強もよくできるけれど、勉強以外のことにも興味があるし、活動範囲も広い。私自身、研究だけでなく、バスケや音楽をやってきたという意味では、慶應義塾の校風に合っているのかもしれません。よく、「塾高(慶應義塾高校)出身ですか」と聞かれるのは、そのせいでしょうか(笑)。
 その後、2007年から08年にかけて、米国ウィスコンシン大学への留学を経験しました。ここでやっていたのは、ディーゼルエンジンの排気ガスの浄化に関する研究です。初めての留学で英語では苦労しましたが、非常にいい経験になりました。いかに日本という国が住みやすく、社会システムが整備された恵まれた国であるかを実感しました。基礎学力についても、日本人のほうが格段に優れているように思います。
 たとえ研究者でなかったとしても、自国のことを客観的に見るためには、一度は海外へ出るべきでしょうね。現在、大学で国際交流委員を務めているのですが、学生たちに全力で海外留学を薦めているところです。

慶應義塾大学の良さについて教えてください。
やはり、教員、職員、同窓会を含めて、福沢諭吉先生の理念が浸透しているところでしょうか。皆が理念を共有しているからこそ、けっして方向性がブレないのが最大の良さでしょう。例えば、海外への留学についても、全校あげて手厚いサポート体制があるのは素晴らしいことだと思います。とくに職員さんの献身的な働きには、いつも感謝しています。
本当に働きやすく、学びやすい環境だと思います。外部の大学から来たからこそ、その良さがよく見えるんですね。やはり「視点を変えてさまざまな物事を見る」ということは、とても大事なことだと思います。

どうもありがとうございました。

◎ちょっと一言◎
学生さんから
非常に熱心に指導をしてくださる先生で、ときに厳しく叱ってくださることも。社会に出たときのことを考えて、話し方からプレゼンの方法まで指導してくださる先生は、なかなかいらっしゃらないと思います。一方で、OFFのときは学生と一緒に飲んだり、スポーツをしたり…。活気のある楽しいところです。

(取材・構成 田井中麻都佳)