新板 窮理図解

慶應義塾大学に来るまでにいろいろな経験をされたようですね。
 15 年間ホヤの研究を続けていますが、場所はいろいろと移ってきました。ホヤのゲノム配列が決定される時期には静岡県三島市にある国立遺伝学研究所の五條堀孝教授のもとでバイオインフォマティクスや進化を学びました。愛知県岡崎市の基礎生物学研究所やイタリアのナポリにある世界最古の臨海実験所でも研究していました。ポスドク時代に多くの方々にお世話になり、私はのびのびと研究に没頭させていただくことができました。場所を変えることで、新しい出会いがあったり、実験手法を学んだり、たくさんのことを吸収してきました。
 しかし、慶應義塾大学で職を得られることになったときに思い悩んだのは、自由を失うということよりも、後進を育成する責任の重さについてでした。私なりに覚悟をして、ここに来たつもりでいます。
 2005 年に移ってきたので、慶應義塾大学にはかれこれ 8 年間在籍しています。これだけ長くいられるのは居心地がいいからです。岡教授をはじめ周りの人たちが、私が研究に没頭できる環境をつくってくださっていると感じています。岡研究室では、岡動物園と呼ばれるほどいろいろな動物の研究が行われていて、ホヤ研究を専門にする私にはとても面白い環境です。また、慶應義塾大学では申請して認められれば、学内研究資金も十分に得られますし、教員を育てるシステムも充実しています。
 優秀な教員がいれば、学生たちもいい教育が受けられるわけです。最近私は、福澤基金を活用して海外留学でもしたいと考えはじめています。

photo教員仲間とスイーツ部をつくっているそうですね。
 私にとっては研究が趣味みたいなもので、特にこれといった趣味はないのですが……。実はかなりの甘党なんです。教員仲間と甘党部をつくって、たまに甘いものを食べに行っています。ただ、最近太り始めたので、自転車を買って、この4月からはサイクリングを始めました。自分の力でどこへでも行ける感覚や道すがら偶然発見するさまざまな街の様子が楽しくて、結構気に入っています。ホヤの幼生が尾を振りながらどこにでも泳いで行く感覚に近いのかな。ホヤは親からできるだけ離れて、固着する場所を求めて移動していきますが、私の場合サイクリングで目指すのは、美味しいスイーツ店です。自転車で気軽に立ち寄れるスイーツ店があったら、ぜひ教えて下さい。

どうもありがとうございました。

◎ちょっと一言◎
学生さんから
堀田先生は、対等に言い合える存在です。議論を交わすことで、自分も成長できたと感じています。何より先生の研究者らしいこだわりと、興味があることに向かっていくひたむきな姿勢を尊敬しています。ただ、これもあれもやってみようと次々にアイデアがわくので、時々仕事がいっぱいになってしまうことはあります。

(取材・構成 池田亜希子)