新板 窮理図解
幼い頃、家にテレビがなかったという杉本さん。
その反動か、中学時代からコンピュータの魅力に取りつかれ、
大学ではバーチャルリアリティの学生コンテストで活躍。
趣味もCGデザインと、コンピュータへの情熱は止まらない。
好きを研究に結びつけてきた杉本さんの姿は、
学生たちが共感できる存在でもあるのだろう。研究室は若い活気に溢れている。

長野県飯田市のご出身ということですが、どんな子ども時代だったのでしょうか?
 両親は美大の出身で、父と母は東京のインダストリアルデザインの会社に勤めていたのですが、あるとき、田舎で自給自足の生活をしたいと東京から長野へ。のびのびと自然豊かな環境の中で子どもを育てたいという両親の教育方針もあって、小学校の高学年くらいまでテレビのない暮らしをしていました。幼い頃はそれこそ、毎日、野山を駆け回って遊んでいましたね。

では、あまり勉強はしなかったのですか?
母は長野では塾の先生をしていたこともあって、熱心に英語や数学を教えてくれました。ただ、直接に親から教わるのは抵抗があって、いつも逃げ回っていました(笑)。
テレビがなかった反動か、中学からはコンピュータにとても興味をもつようになりました。小学校の高学年のときに、従兄弟の家に遊びに行った際、MSXという初心者向けのコンピュータがあって、それに触れたのが私のコンピュータとの最初の出合いです。以来、まだコンピュータも持っていないうちから、コンピュータ雑誌を毎月買っては、熱心に読みふけるようになりました。
photo 実際に自分のパーソナルコンピュータを手に入れたのは、高校に入学してからです。私のコンピュータ熱を見かねた父が、志望高に合格したお祝いとして買ってくれました。
高校のサークルでは物理班に所属して、放課後に仲間と自習でプログラムを組んだり。オリジナルのマークアップ言語を定義して、今で言うパワーポイントのようなテキストとイラストを用いてプレゼンテーションをする機能をもったソフトを開発して、文化祭で発表する資料として活用したり……。ちゃんとアニメーション機能もサポートしていました。コンピュータを手に入れてからは、ますます情報学の面白さに魅せられて可逆圧縮の専門書が高校時代の愛読書だったりも。ちなみに、父に買ってもらったコンピュータは今でも大切に持っています。