慶應義塾大学理工学部 広報誌
  新版 窮理図解  
07 早瀬潤子 研究に必要なのは、チャレンジ精神と集中力

女性研究者では珍しい量子光エレクトロニクスの研究を手掛ける早瀬潤子さん。
その柔らかな物腰からは想像できないが、高校時代はボート部に所属し、
全国大会で4位になったほどの実力だ。
早瀬さんは、部活で鍛えた体力と集中力を武器に、
自らの手で研究者としての道を切り拓いてきた。

 

1 高校の物理の先生との出会いが転機

どのような子ども時代を過ごされましたか? 昔から、理系科目が得意だったのでしょうか。
 私自身は全く覚えていないのですが、両親が言うには、しょっちゅう「どうして?」「どうして?」と質問ばかりしている子だったようです。ただ小さい頃は、とりたてて理系科目が得意だったというわけではありませんでした。
 生まれは福島県で、のんびりしたところに育ったので、小学生の頃はあまり勉強した記憶はありません。中学のときに埼玉県に引っ越し、進学した県立高校で教わった物理の先生との出会いが大きな転機になりました。
 高校の物理の授業というと、実験などはあまりやらず、教科書にかじりついて受験向けの計算問題を解くというものがほとんどだと思うのですが、この先生はちょっと変わっていて、毎回必ず実験をして、なぜそうなるのかを生徒たち自身に考えさせるという授業だったのです。定期試験でも、計算問題はほとんど出さず、「なぜこうなるのか説明せよ」といった設問ばかりでした。もともと考えることが好きだったので、この先生との出会いで、物理の面白さに目覚めました。とはいえ、このときはまだ、研究者というのは憧れの存在でしかなかったのですが……。
photo というのも、高校時代はボート部に所属し、インターハイに出るなど、部活動しかやっていなかったんですね。高校3年の9月の国体までは、部活一色の生活でした。なので、受験勉強はほとんどせずに、推薦で上智大学の物理学科に入学しました。

でも、普段の成績が良くなければ推薦は受けられませんね?
 ボート部で体力がつき、集中力が鍛えられたおかげだと思います。体力と集中力で、定期試験を一気に乗り切っていました。実を言うと、私は一度も塾に行ったこともないし、模試も1回しか受けたことがないんですよ。推薦入学に際しての試験も、計算などは一切出なくて、すべて「○○について説明せよ」という論文形式の試験だったので、なんて私向きの試験なんだろうと思ったほどです(笑)。

 

 

1 高校の物理の先生との出会いが転機
2 新しい成果を求めて研究者に
3 女性を意識したことなく自然体で
Profile 早瀬潤子 物理情報工学科 専門分野は量子光エレクトロニクス。特に超短光パルスを用いた半導体ナノ構造の光物性、量子制御、量子情報応用に関する研究に従事。2001年上智大学にて博士(理学)を取得後、(独)理化学研究所基礎科学特別研究員、(独)情報通信研究機構専攻研究員、(独)科学技術振興機構さきがけ研究者、電気通信大学先端領域教育研究センター特任助教を経て、2010年慶應義塾大学理工学部准教授、現在に至る。2009年度文部科学大臣表彰・若手科学者賞。
 
理工学部 HOMEへ

窮理図解 top