慶應義塾大学理工学部 広報誌
  新版 窮理図解  
06 髙橋正樹 3 外部との関わりを重視して学生を指導する

photo他に大学の教員として
どんなことを心がけていますか?

 学生の活動範囲が研究室の中だけにならないように、なるべく外部との関わりを持てるよう工夫しています。他大学との交流や、海外の人々と接した経験は、彼らの研究生活だけでなく、卒業後にも役立つと考えています。例えば、秋田県の能代市で行われている宇宙イベントや、アメリカのネバダ州Black Rock砂漠で行われているロケットを使って模擬人工衛星を打ち上げて回収するイベント(ARLISS)に参加したりと、いろいろな人と関われる場を提供するように努めています。また、学生の発案で、学園祭で地域の小学生を対象にペットボトルロケットを飛ばす実験教室を開催したりもしています。
 これらのイベントへの参加は決して強制するものではないのですが、研究室のOBやOGのサポートもあって、毎年多くの学生がそれぞれのイベントに積極的に参加してくれています。しかも単なる参加者として加わるのではなく、学生がイベントを運営する主体として、あるいはボランティアスタッフとして積極的に関われるように研究室をあげて協力しています。こうした取り組みを通し、コンピュータ上でのシミュレーションに終始しがちな研究では体験できない、設計から製作、実証までを仲間と協力して行うプロジェクトベースでの取り組みを経験して欲しいと思っています。
 小学生を対象にする実験教室では、ロケットが飛ぶ仕組みや、ロケットを飛ばす角度を変えると飛ぶ距離が変わることを体験してもらっています。やはり体験したことは印象に残ると思うのです。高校で物理を学ぶとき、「あのときにロケットが飛んだのはこういう理屈だからか」とつながってくれれば、その先に興味を持つ原動力になるはずです。そして研究室の学生には、教えることの難しさを感じとってもらえるとうれしいです。

先生自身が人との出会いの中で記憶に残っていることはありますか?
 イタリアの大学にロボットで有名な研究者がいらっしゃるのですが、その方と話したことですね。その先生は、私の専門が制御工学であることを知ると、自分の専門は情報工学で制御工学のことが分からないから君と話をしたいと、博士を取ったばかりの私に言ってきたのです。先生の姿勢は非常に話しやすく、有益な情報交換の場になりました。自分の専門分野を極めると当然分からない領域は出てきますし、そのことを必要以上に恥じる必要はないこと、自分の専門的な視点を持つことが大切であることを実感しました。学生にもこのことはきちんと伝えていきたいです。

どうもありがとうございました。

◎ちょっと一言◎
学生さんから:僕ら学生のがんばりを辛抱強く見守ってくれつつ、必要な時にはそれとなく的確なアドバイスをしてくれる頼れる先生です。しかもバイトや就活などへの理解もあるなど、バランス感覚も絶妙です。合宿では、学生の発表に鋭い指摘を入れつつ、フットサルでも先導する、厳しくも優しい兄貴のような存在です。

(取材・構成 渡辺 馨)

 

 

1 大学に入って 力学・制御工学に関心を持つ
2 恩師の講義が意識を大きく変えた
3 外部との関わりを重視して 学生を指導する
Profile 橋正樹 システムデザイン工学科 専任講師 専門は制御工学、知的制御工学。モデルベース制御をベースに、機械・力学制御、知能ロボティクス、宇宙工学分野での研究に取り組む。2004年、慶應義塾大学理工学研究科にて博士(工学)を取得。2004年に慶應義塾大学特別研究助手、2005年に慶應義塾大学理工学部助手、2007年に助教を経て、2009年より専任講師、現在に至る。
 
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