慶應義塾大学理工学部 広報誌
  新版 窮理図解  
02 武田朗子 3 「最適化法」をより多くの人に知ってもらい役立てたい

ORの最適化法というのは、本当にいろんな分野に応用できるんですね。
 そこが面白いところなんです。進学を決めたときもそうでしたが、私はいろんな選択肢を残しておきたいというか、応用分野を1つに絞りたくないと思っているのです。だから、いつも、テーマごとに色々な分野の人と組んで研究をするようにしています。
 数学のなかには、社会で役立つかどうかにかかわりなく、理論を究めていく学問もありますが、私は理論がどう使われるのか、どう社会に貢献できるのか、具体的に応用を見てみないと気がすまないのです。もちろん分野によっては、カルチャーがまったく違っていたり、摩擦があったり、ぶつかることもありますが、だからこそ面白いのです。
 さらに、これまで勘や経験に頼ってきた経営判断に、定量的に助言を与えられるというのも、ORならではです。ちょうど昨日、研究者仲間から、携帯電話の基地局を減らそうという役所の計画に対して、電波干渉が起こらないようにするためには、最低いくつの基地局が必要かを、最適化法の手法で提案し、役人を説得してきたという話を聞きました。こんな場面でも最適化法が役立つんですね。
 あるいは、私が現在手がけている研究に、機械学習というのがあって、血糖値やインシュリン値などのデータを用いて糖尿病かどうかを判別する場合に、医師の診断に頼ることなく、データを見ただけで機械的に判別する手法を開発したりしています。このように最適化法は、数学そのものの面白さを味わえるだけでなく、実社会のさまざまな場面に応用できるのが醍醐味です。「最適化法って、こんな意外なことにも役立つんだ」と思ってもらえるように、ORおよび最適化法の研究をより多くの人に知ってもらい、役立てていけたらと思っています。

どうもありがとうございました。

◎ちょっと一言◎
学生さんから:先生は天才肌というか、集中力とひらめきがすごいんです。逆に集中すると、ほかのことはまったく見えなくなるくらい(笑)。何か聞けば、かならずアドバイスをくれますし、次々にアイデアを出してくれます。いつも明るくて、楽観的に物事を捉える方なので、研究室の雰囲気も明るいですよ。

(取材・構成 田井中麻都佳)

 

 

1 落ちこぼれの小学生が一転して 研究者に
2 企業の研究員を経て 母校に戻る
3 「最適化法」をより多くの人に 知ってもらい役立てたい
profile 武田朗子
管理工学科 専任講師 不確実性を考慮した最適化技術の開発に従事。最近は、金融工学や統計的機械学習分野における最適化問題を効率よく解くためのアルゴリズムの開発に取り組んでいる。2001年、博士(理学)を取得後、(株)東芝 研究開発センター 研究員、 東京工業大学情報理工学研究科 助手を経て、2008年より慶應義塾大学理工学部 専任講師、現在に至る。
 
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