Emerging 2011
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未開拓・未挑戦の領域に果敢に取り組むために 今、私たちはどうやら、科学技術の変革期に立ち会っているようです。生命、地球環境、情報、社会システム、そして人間…20世紀には説明や解決が困難だった諸問題が、いよいよ科学技術の射程に入ってきています。そして、それらは従来の科学技術が取り組んできたものとは異なる特徴をおびています。それが「創発(emerging)」です。このemergingが手つかずの問題の本質であることに科学技術は気づきはじめています。21世紀の科学技術は、emergingを説明し利用するものであることは、まず間違いありません。そして、科学技術自身もまた、emergingな存在へと変貌を遂げなければなりません。細分化した各専門分野ごとの追求ではこれまで導き出せなかった成果を、文字どおり、全体として「創発」すること。言葉をかえれば、未開拓・未挑戦の領域に積極的に新しい科学技術を開花させることで、それを通して新しい人間と社会をemergingさせることが必要です。歴史の推進力としての科学技術を志して 私たちの問題意識は、科学技術をどうすべきかに止まりません。人類が21世紀をより良い歴史の1ページとするために、科学技術がどう貢献できるかにこそ、真の狙いがあります。周知のとおり、我々の生活のあらゆる細部にまで科学技術の成果が浸透している今日、社会全体の舵取りにおいて科学技術が果たす役割は、かつて類例がないほど高まっています。これまで、科学技術は客観的であること、つまり価値から自由でなければならないとされてきました。しかし、こうした科学技術観はもはや支持されていません。むしろ科学技術がどういった価値観をもって行われているかが厳しく問われています。すなわち価値の創造こそが求められているのです。これから科学技術に携わる者は、「科学技術の進歩」で完結する世界観ではなく、「科学技術の探求」と「人間社会への貢献」の相互発展をリードするという2つの焦点をもった楕円的世界観を持つ必要があります。この新しい世界観を貫く思想は、「生命環境の創出」という言葉に要約されます。生命環境とは、人間を含む生命体の活動環境を創発的に豊かにしていくようなメカニズムを内包する、社会・情報・人工・自然環境全般を指します。これからの科学技術は、地球生命46億年の歴史性を踏まえて、21世紀の生命環境を構想し創出する活動を主軸に展開されるべきでしょう。改革の狙い07創発するシステムとしての新組織 2000年度より理工学研究科は、基礎理工学専攻、総合デザイン工学専攻、開放環境科学専攻という新たな3つの専攻に生まれ変わりました。これは従来の分野別縦割り専攻型の、細分化され極度に専門化された狭い領域設定と専攻ごとに設定された問題だけをその専攻特有の方法論を使って扱うというあり方を抜本的に改めることを狙いとしています。すなわち、分岐した諸分野の再融合をめざすと同時に、未開拓の分野への取り組みを容易にする流動性・可変性の高い柔軟な教育・研究体制の実現を意図しています。 各専攻には目的を共有する専修と呼ばれる教員グループが設けられていますが、この教員グループは定期的にそのグルーピングが見直されます。これは研究およびカリキュラムの自由度を高め、広い可能性の中で学生が自らの方向を主体的に選択していけるよう配慮したものですが、学部教育でのきちんとしたディシプリンを身につけてさえいれば、こうした自主性の滋養は可能であると考えています。これからのボーダレス社会でもっとも求められる資質は、未知の世界に自ら切り込んでいける構想力と実行力であり、それらの力を育成することが大学院教育における大切なつとめであると信じています。大学院の概要
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