大学院の概要
物理学専修
現代物理が研究対象としているものは非常に広い。それは、物質が素粒子、原子核、原子・分子・イオン、固体・液体、生物、星、宇宙という階層構造をなすからである。さらに、半導体や磁性体と呼ばれる物質はイオンと電子の集合であり、それらを組み合わせることによって、数々の機能を有するようになる。これらの無機物質のほかに多くの有機物質があり、生体は有機物質と無機物質から成る不思議な機能をもつ物質である。
現代物理学は、物質の階層構造を反映して、素粒子物理学、原子物理学、物性物理学に分かれる。さらに、自然科学の他の領域との境界には生物物理学、化学物理学などの分野が広がっているし、それらをさらに複合した地球物理学もある。
このような広がりをもつ物理学の中で、われわれは、工学とのかかわりの多い分野である物性物理学、とくに固体物理学の教育と研究に重点を置いているが、理論では場の理論なども含み、実験ではレーザー及び生物物理学の研究グループもある。
研究スタイルは個々のグループにより異なるものの、基礎教育に関してはスタッフ全員が協力してその充実に努力している。自然に関する広くしっかりした認識を持つことが、将来どのような環境の変化にも適応し、社会に貢献できる人材となるための条件であるという信念で一致している。そこで、量子力学、統計物理学などの基礎的分野はもちろんのこと、物性物理学の各分野や、レーザー物理学、生物物理学、宇宙物理学など広範囲の講義が用意されている。さらに、毎年数名の非常勤講師の方々に、慶應義塾大学では研究していない分野の第一線の研究成果についての講義をお願いしている。
大学院教育の到達点は、独立した研究者を世に送り出すことであり、研究者となるためには広い学識に加えて、問題に対する強い興味を持つだけの感性、進むべき道で困難に遭遇してもたじろがない勇気とそれを乗り越える粘り強さ等々の資質が必要である。どのグループも、多くの研究成果を上げてきた現役の研究者によって指導されており、学生は研究活動を通じて、研究者としての資質をも身につけることができる。

