大学院の概要
物理情報システム専修
20世紀は物理学とその応用の時代でした。統計力学・量子力学から始まり、半導体・トランジスタまで、これらは情報化時代の基礎科学・基礎技術として、その発展を担ってきました。事実、情報処理は半導体物性が担い、情報伝送は光の波動現象が担い、情報蓄積は磁性現象が担っています。まさに情報の担い手つまりメディアは物理現象といっても過言ではありません。また、20世紀から21世紀にかけては、生命科学の時代といわれています。遺伝子や蛋白質の機能が急速に解明され生体現象や生命機能が遺伝子レベルから解明されようとしています。
以上のように、20世紀から21世紀への流れを包括してみると、「インフォマティクス(Informatics : 情報学)」という用語で括ることができるでしょう。それは、インフォメーションテクノロジー(Information Technology : IT)と通俗的に表現されているものとは、かなりレベルの違った概念です。物理情報システム専修の英文名の後半部分、“Physico-Informatics”には、この新しい概念が託されています。では、この概念をもう少し説明しましょう。
生物は外界からの影響を自ずと感じ取って自律的に判断し、その影響に適応的に順応したり対峙する行動をとります。これらの機能は、センシング機能・プロセッシング機能・アクチュエーティング機能ということができます。さらに、自己診断機能・自己修復機能などと高度な機能もあります。このような機能を情報論的に把握する概念がインフォマティクスなのです。このような機能を物理学的・力学的に解析したり、物理現象や物性として実現したり、またこれらの機能を発現する材料やデバイスをナノ領域で開発することは、新世紀の未知の科学技術といえるのです。また一方で、これらの機能の実現には、いわゆる手段としての情報技術も欠かせません。対象とする物理現象・生命現象・生体現象を前に、これらの機能を創発するための制御・設計の場において用いられる情報技術もインフォマティックスとよぶことができます。
以上のようなインフォマティクスとの密接な関わりの中で、物理学を基盤として情報技術・医療技術・エネルギー環境技術への応用を念頭に入れた萌芽的研究・基礎的研究を目指すと同時に、そのための研究者を育成することを、目的に掲げています。

カリキュラム
応用数理解析、シミュレーション工学、非線形系の情報物理、医用画像工学、電子回路特論、応用量子物理、電子伝導論、ナノサイエンス同演習、センシング工学、生体情報工学、医用光工学、医用生体工学、イオン工学、生体制御、モデルベースト制御理論、応用物理特別講義A、応用物理特別講義B
特許出願
次世代半導体、多重磁気記録、インターネット画像診断、グレースケールリソグラフィ、量子デバイス、光治療デバイス(循環器治療光デバイス・光線力学的癌治療法・薬剤投与デバイス・神経内視鏡デバイス)
就職
情報通信・精密機器分野(コンピュータ、通信機、計測器、家電機器)、材料関連分野(電子材料、光学加工、医薬品、医療機器)、プラントエンジニアリング、元国公立研究所及び、文部科学省、経済産業省などその他研究・教育関係分野、公共事業分野(通信、輸送、ガス、電力)、重電機器、エネルギー関連機器、自動車、車両、航空、宇宙、その他
